2025.08.21
現場の負担を軽減するには?物流業で進む床工事の工夫

物流倉庫では日々、大量の荷物が運ばれ、フォークリフトや台車が頻繁に行き交います。そのような環境で床にひび割れや段差があると、作業効率が下がるだけでなく、荷物の破損や作業員のけがといったトラブルにもつながりかねません。「移動がスムーズにできない」「清掃してもすぐに汚れる」「床の劣化が早い」といった悩みを抱えている担当者も少なくないでしょう。
この記事では、物流業において床工事が果たす役割や、現場の負担を軽減するために選ばれている施工方法、失敗しないための注意点までを丁寧に解説します。より安全で快適な作業環境づくりを考えている方にとって、役立つ内容をお届けします。
■ 物流業における床工事の重要性とは?
日々多くの荷物が行き交う物流現場では、床の状態が作業全体の流れに大きく関わっています。フォークリフトや台車の移動がスムーズに行える環境を整えるためにも、床工事の質が重要視されるようになっています。床は単なる作業スペースではなく、安全性と効率性を左右する「土台」と言える存在です。
- 荷物の移動効率と安全性への影響
段差やひび割れがある床面では、台車やフォークリフトの操作性が低下し、作業中のミスや破損が起こるリスクが高まります。一方で、滑らかでしっかりとした床面であれば、運搬効率が上がり、作業全体がスムーズに進行します。物流現場のパフォーマンス向上には、床の状態が欠かせません。
- フォークリフトや台車の走行に適した床面とは
最適な走行性を確保するには、床面が滑りにくく、なおかつフラットであることが必要です。表面に凹凸や傾斜があると、車輪の動きに影響を及ぼし、荷物のバランスが崩れやすくなります。施工時に塗料や仕上げ方法を調整することで、現場に最適な床を実現できます。
- 清掃性や耐久性の向上による作業環境の改善
衛生面の維持や日常清掃の効率も、床の仕上がりによって大きく左右されます。ほこりや液体が染み込みやすい床では、清掃作業が煩雑になり、衛生状態が悪化する恐れがあります。耐久性の高い塗床材を使用することで、清掃しやすく、長持ちする環境を整えることが可能です。
- 従業員の身体的負担を軽減する要素
働く人の安全と健康を守るという観点でも、床工事は重要です。たとえば微細な段差や滑りやすい床面は、転倒や疲労の原因となります。適切に整備された床は、足元の安定性を高め、長時間の立ち仕事や移動作業による負担を減らす効果が期待できます。
■ 物流倉庫の床に求められる性能
作業効率と安全性を両立させるために、物流倉庫の床には高い機能性が求められます。ただ見た目を整えるだけでなく、頻繁な車両の通行や重量物の積載、清掃のしやすさなど、使用条件に応じた性能を備えていることが重要です。耐久性や清掃性、滑りにくさなど、現場で本当に必要とされている床の条件を理解しておくことで、より的確な施工につながります。
- 耐摩耗性の確保
日常的にフォークリフトや台車が往来する物流現場では、床がすり減りやすくなります。特に旋回や急停止が多いエリアでは、摩耗による塗膜の剥がれやコンクリートの露出が起きやすいため、耐摩耗性に優れた塗床材を使用することが求められます。これにより、床の寿命を延ばし、メンテナンスの手間も削減できます。
- 滑りにくさと防滑性
荷物を運ぶ際の安全性を保つためには、防滑性能も欠かせません。雨水や油、粉じんなどが床に付着した場合でも、作業員が滑らずに歩行できる状態を保つことが必要です。床材の表面仕上げやテクスチャに工夫を施すことで、滑りにくさを確保し、転倒事故のリスクを低減することが可能です。
- 重量物にも耐える衝撃性
物流倉庫では重い荷物やパレットの落下が発生することがあります。そうした衝撃にも耐えられる床材を使用していなければ、ひび割れや剥がれが起き、段差や危険な状態が生まれてしまいます。エポキシや樹脂モルタルなど、衝撃に強い素材を選ぶことで、床面の強度をしっかりと確保できます。
- 衛生管理と清掃のしやすさ
物流業では衛生管理も重要なテーマです。特に食品や医薬品などを扱う倉庫では、清掃のしやすさが作業品質にも直結します。継ぎ目のない塗床仕上げや、汚れが付着しにくい表面処理を選ぶことで、日常清掃の効率が上がり、清潔な環境を保つことができます。これにより、業務全体の品質管理にも良い影響を与えます。
■ 物流現場でよくある床のトラブルと原因
物流倉庫では日々、車両の往来や人の動きが絶えず、床面にかかる負荷は非常に大きいものです。そのため、定期的に適切な工事やメンテナンスを行っていないと、さまざまなトラブルが発生します。表面的な傷や割れだけでなく、内部からくる構造的な問題も多く、根本的な原因に目を向けることが重要です。
- ひび割れ・浮きの発生
時間の経過とともに、床面に細かなひびが入ったり、一部が浮いてしまったりする現象は物流現場で頻繁に見られます。これは、温度変化による膨張・収縮や、床下の空洞化、過剰な荷重が原因となることが多いです。初期段階では目立たなくても、放置することで徐々に劣化が進行し、補修範囲が広がってしまいます。
- 塗膜のはがれや剥離
表面に塗布された塗床材が、荷重や摩耗、湿気などの影響で剥がれてしまうことも珍しくありません。特に下地処理が不十分だった場合や、適した材料が使われていなかった場合には、数年以内に剥離が起こることもあります。剥がれた箇所は車両の振動を引き起こす原因となり、段差や破損が進行する要因になります。
- 水分や油による劣化
床面に付着した水や油が染み込み、内部から劣化を招くこともあります。とくに清掃が追いつかない現場では、長期間にわたって床面が湿った状態となり、塗膜が柔らかくなったり、密着力が低下したりします。こうした劣化は目に見えづらいため、定期的な点検が欠かせません。
- 段差や凹みの発生原因
通行量の多い場所では、荷重の繰り返しや衝撃により床が局所的に沈下し、段差や凹みが発生します。段差ができるとフォークリフトの操作性が低下し、荷崩れや作業員の転倒といった二次的なトラブルにつながります。段差の多くは、初期のひび割れや摩耗から進行するため、早めの補修が必要です。
■ 工事内容別に見る物流倉庫向け床工事の種類
物流倉庫で行われる床工事は、使用環境や損傷の状態に応じて多岐にわたります。単に塗り替えるだけではなく、段差を修復したり、古い塗床を撤去したりと、目的に応じて適切な工法を選択する必要があります。それぞれの工事には特長があり、現場の状態に合わせた判断が重要です。
- 塗床工事(エポキシ・ウレタンなど)
塗床工事は、物流倉庫における基本的な施工方法です。エポキシ樹脂や水性硬質ウレタンなど、用途に応じた塗料を選定し、耐摩耗性・防滑性・耐薬品性などの機能を床に付与します。施工後は継ぎ目のない仕上がりになるため、清掃性にも優れており、衛生管理が求められる現場にも適しています。
- 段差補修と樹脂モルタル工事
フォークリフトの通行や重量物の荷下ろしによって生じた段差には、樹脂モルタルを使用した補修が効果的です。速硬化タイプの樹脂を用いることで、短時間で施工を終えることができ、稼働を止めずに補修が可能です。また、段差を埋めるだけでなく、耐衝撃性の向上や平滑性の回復にもつながります。
- 床の研削・研磨工事
床の塗り替えや補修を行う前に、研削・研磨による下地処理を行うことで、塗料の密着性を高め、仕上がりを安定させることができます。専用機材を使って床表面を均一に整えることで、小さな凹凸やひび割れも事前に対処することが可能です。下地処理の質が、その後の工事全体の耐久性に直結します。
- 床の撤去・再施工
経年劣化や度重なる補修により、床材が限界を迎えている場合は、古い塗床や仕上げ材をすべて撤去し、新たに施工し直す必要があります。このような再施工では、床面の厚みや材質、使用目的を見直しながら、最適な材料と工法を選ぶことが求められます。特に長期使用を見据える場合には、初期費用よりも耐久性や維持管理のしやすさを重視した選択が大切です。
■ 物流業に適した床材とその選び方
物流現場では床材の選定が作業のしやすさや安全性、さらにはコスト面にまで影響します。搬送機器の走行や人の動線、使用される環境(常温・冷蔵・屋外など)によって、適した床材の条件は大きく異なります。性能と用途をしっかり見極めて、最適な素材を選ぶことが長く快適に使える床づくりの第一歩です。
- エポキシ樹脂の特徴と用途
耐摩耗性と耐衝撃性に優れるエポキシ樹脂は、物流倉庫や配送センターなど、車両の往来が激しい現場で多く使われています。塗膜が硬く、フォークリフトの荷重にも耐えられるため、長期間にわたり床面を保護できます。ただし、紫外線に弱いため、屋外や直射日光の当たる場所には不向きな点もあります。
- 水性硬質ウレタンの利点
水性硬質ウレタンは、耐熱性や耐薬品性に加えて、防滑性にも優れているため、湿度の高い場所や温度変化の激しい倉庫でも安定した性能を発揮します。さらに無臭で環境にもやさしいことから、作業中の臭気対策が必要な施設でも導入しやすい素材です。乾燥も比較的早く、短期間での施工が可能です。
- MMA樹脂による短時間施工
施工スピードを重視する現場では、MMA(メチルメタクリレート)樹脂が選ばれることがあります。この素材は1時間ほどで硬化するため、業務をほとんど止めずに床工事を進めることができます。また、マイナス30度でも施工できるため、冷凍・冷蔵倉庫にも対応可能です。ただし、施工中に特有の臭気が出るため、換気環境の確保が必要です。
- 用途別に異なる床材の使い分け
現場の条件や使用目的に応じて、床材を柔軟に使い分けることが重要です。たとえば、摩耗に強い床を求める場合はエポキシ樹脂、清掃性と耐熱性が必要な場所では水性ウレタン、時間に制限がある場所ではMMA樹脂といったように、それぞれの特徴を理解して選定します。誤った選び方をすると、せっかく施工した床が短期間で劣化してしまうため、現場に合った素材の選定が非常に重要です。
■ 失敗しないための下地処理のポイント
床工事において仕上がりの良し悪しを大きく左右するのが「下地処理」です。目には見えにくい工程でありながら、この作業を丁寧に行わないと、せっかく高性能な塗床材を使ってもすぐに剥がれたり、ひび割れが起きたりすることがあります。物流現場のように使用頻度が高い環境では、特に下地処理の重要性が増します。
- 下地の状態確認と損傷の把握
工事を行う前には、既存の床面にひび割れや剥がれ、浮きがないかを丁寧にチェックする必要があります。目に見えない内部の傷みや、湿気を含んだ箇所があると、新しい塗床材が密着しづらく、早期の剥離につながることがあります。まずは現場の状態を正確に把握し、必要に応じて補修を行ってから次の工程に進みます。
- 研削・研磨による密着力の向上
床表面を機械で研削・研磨することで、古い塗膜や汚れを取り除き、塗床材がしっかり密着する状態を整えます。特に硬い床材や油分が染み込んだ床では、この工程を省くと塗膜がうまく定着せず、すぐに剥がれてしまうことがあります。粗さのある面を作ることで、塗料がしっかりと入り込み、長期間安定した状態が保てます。
- 湿気や油分除去の徹底
倉庫の床には、水分や油分が残っていることが多く、それが塗膜の浮きや剥がれの原因になります。施工前に床をしっかりと乾燥させ、必要であれば脱脂処理を行うなど、細かな点に注意を払うことが欠かせません。湿気を含んだまま施工してしまうと、見た目は良くても内部から劣化が進むことがあります。
- 下地処理を省いた際のリスク
一見問題なさそうに見える床でも、下地処理を省いて施工すると、数ヶ月から数年以内にトラブルが発生することがあります。剥がれや浮き、ひび割れなどが起こりやすくなり、再施工が必要になる可能性も高まります。これによって結果的にコストや時間が余計にかかってしまうため、初めの段階でしっかりと下地処理を行うことが長持ちする床工事の基本です。
■ 株式会社レジンテクニカの物流業向け床工事
物流現場に適した床工事を行うには、床の特性を理解し、使用条件に合わせた施工が求められます。株式会社レジンテクニカでは、物流業のニーズに対応した床工事を数多く手がけており、長年の経験と専門性を活かした施工で現場の課題を解決しています。現場環境や業務内容に合わせて、最適な材料と施工方法をご提案しています。
- 床工事専門の技術力と施工実績
床工事に特化した専門会社として20年以上の経験を持ち、物流倉庫や工場など、業種ごとの特徴に対応した施工実績が豊富にあります。床面の状態や使用環境を踏まえたうえで、耐久性や清掃性、防滑性など必要な性能を確保する工事を行っています。初めてのご相談でも、丁寧に現地を確認し、最適な対策を立てることが可能です。
- 自社施工による柔軟で確実な対応
すべての施工を下請けに頼らず自社スタッフで対応しているため、品質の安定や工程の柔軟な調整が可能です。施工前の打ち合わせには代表が直接足を運び、現場の状況を細かく確認したうえで提案を行います。これにより、想定外のトラブルや認識のズレを防ぎ、工事の質とスピードを両立させています。
- 物流現場に適した床材と工法の提案
耐摩耗性に優れたエポキシ、温度変化に強い水性硬質ウレタン、短時間施工が可能なMMAなど、物流業に適した床材を現場ごとに選定しています。また、段差補修が必要な場合には、樹脂モルタルを用いた施工で床面の凹凸を解消し、台車やフォークリフトの走行性を高める工夫も行っています。
- 短時間施工と下地処理へのこだわり
物流倉庫では、工事による稼働停止を最小限に抑えることが求められます。株式会社レジンテクニカでは、短時間施工に対応可能な材料を活用し、夜間や休日などに合わせた施工も柔軟に対応しています。さらに、工事の仕上がりと耐久性を高めるために、研削や研磨による下地処理も徹底して行っています。
■ まとめ
物流倉庫の床は、単なる作業スペースではなく、業務の効率や安全性に直結する重要な設備のひとつです。ひび割れや段差、塗膜の剥がれといったトラブルを放置してしまうと、作業効率の低下や事故の発生リスク、さらには従業員の身体的負担にもつながるおそれがあります。現場に適した床材を選び、丁寧に施工された床は、清掃性や耐久性にも優れ、長期間にわたって快適な作業環境を維持することができます。
物流業における床工事では、耐摩耗性・防滑性・衝撃耐性などが特に重視されます。さらに、施工時間の短縮や、業務を止めない工夫が求められる中、下地処理の質も工事全体の仕上がりと寿命を大きく左右します。そうした点をすべて踏まえた施工ができる業者を選ぶことが、トラブルのない現場づくりには欠かせません。
株式会社レジンテクニカでは、自社施工による短時間かつ高品質な床工事を提供しており、物流現場に合わせた材料選定と確かな下地処理で、多くの現場で評価をいただいています。床の劣化や段差にお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。
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